ファンクションとエモーション

先日、サッカー日本代表が決勝トーナメントに進出したことについて書きました。

その時に岡田武史元監督の言葉を引いて、日本人はファンクショナルなことととエモーショナルなことをごっちゃにしてしまう、ということに、ポーランド戦に対する賛否両論を重ねてみましたが、今回はファンクションとエモーションについてもう少し書き足してみようと思います。

 

元々は、岡田武史さんがある番組で語っていた言葉ですが、改めて書き出すと以下のようなものになります。

どうしても日本人はファンクショナル(機能的)なこととエモーショナル(感情的)なことをごっちゃにしちゃう。「こいつが代表監督だから代表を応援しない」とかね。

これが例えばアルゼンチンとかだったら、誰が監督になってもめっちゃ批判するけど、勝った時は全員が喜ぶよ。 

でも日本代表は、たとえば俺が監督やってたら勝っても喜んでない人がいるわけよ。

日本人はファンクションとエモーションが被っちゃって、感情が入って機能だけでは見ない。

 改めて見てみても、先日のポーランド戦の戦い方についての意見に示唆するものがあるんじゃないかなと思います。

「みっともない!」という意見も、「決勝トーナメントに進んだからいいじゃないか!」という意見も、ある意味では感情的なものです。

機能的に考えるならば、「試合の状況を考えて、ピッチにいるメンバーで一点を狙いにいくよりも、試合を0-1のまま終わらせる方が決勝トーナメント進出の可能性が高かった」というように西野監督の決断を捉えるでしょう。

逆に、「試合を0-1のまま終わらせるよりも、失点のリスクを負って引き分けを狙いに行った方が勝算が高かった」という意見も機能的な面から考えていると思います。

 

サッカー、しかもワールドカップという大舞台である以上、見る人がどういった目的をもって日本代表を応援しているのかが千差万別であるため、感情的な意見が多く出てきてしまうのは仕方のないことだとは思います。

しかし岡田さんが言っているように、この一件だけで「もう日本代表を応援しない!」とか、「次でボコボコにされたらいい(海外の方でそう言っている人もいるようですが…)」と言ってしまうのは非常に残念だと思うのです。

賛否両論が出るのは当然で、海外メディアの批判も多く出ている問題ではありますが、せめて日本人は批判覚悟でこの決断をした自国のチームを最後まで応援すべきだと思うのです。

 

岡田さんの言うファンクションとエモーションをごっちゃにせずに考えてみるということは、そのヒントになるものだと思います。ひいては、日本のサッカーが進化していく上で必要な、見る側の進化にもつながるのではないでしょうか。